mocha Proは最強か?

主要マッチムーブアプリ

各社マッチムーブアプリケーション(プラグイン)
Vicon Boujou
Adobe Afetr Effects(3D camera tracker)
Imagineer Systems Mocha AEサブセット版
Imagineer Systems Mocha Pro
Autodesk Maya(MatchMover)
The pixel Farm PFTrack
The Foundry CameraTracker
Andersson Technologies SynthEyes
Blender Foundation Blender

2013年1月現在、マッチムーブ系のアプリケーションやプラグインは各社からリリースされています。
まず代表格として挙げられるのは歴史と実績でVicon社Boujou5ですが、数で言ったら、After Effects CS6に新機能として搭載された3D Camera TrackとCS4からバンドルされたmocha AEのサブセット版がダントツでしょう。
4番手は、Autodesk社Mayaに標準で付いてくるMacthMoverでしょうか。
ただし、これは、あくまでも筆者が業界の横つながりで聞いた私見で、市場シェアではないことをご理解ください。
映像業界の狭い領域でしか使われないアプリケーションなので、統計データなどは存在しません。
これ以外にもマッチムーブ系のアプリケーションは、国内でユーザーがどれくらい存在するのか不明なThe pixel Farm社のPFTrackや、After Effectsのプラグインとして開発されたThe Foundry社のCameraTracker、数々のCGアプリケーションにエキスポートできるAndersson Technologies社のSynthEyesでしょう。無料のCGアプリケーションBlenderにもトラッキング機能が付属しており、MayaのMatchMover同様にイメージベースドモデリングを行う際には便利なようです。私はPFTrack以外は使用経験があり、その中の経験でMocha Proがもっとも自分の仕事に適していると感じています。

適材適所

どのアプリがどんな作業に適するのか。いろいろ試した経験からどのアプリにも得手不得手があり、一概にこれが良いとはいえません。どんなアプリケーションでもそうですが、何をさせるかで、ツールが決まると考えます。
まず、応用範囲が広いのは「mocha Pro」です。それと短時間で作業が完了できるという点において最強のツールだと思います。マッチムーブの作業工程が非常に単純で簡単に行えること。そしてマスク作成、差し替え、ゴミ消しといったロトスコーピングを使った作業が驚くほど簡単にできます。これまでAfter Effectsで四苦八苦していた作業がとても楽にできます。
しかし、最初からCGを合成することが決まっており、撮影時にトラッキングマーカーが適切に配置されている場合や照明の状態が良好なフッテージの場合など、そして、そこから3次元データを取り出しマッチングさせたいという場合は、「Boujou」やMayaの「MatchMover」が便利だと思います。 しかし、Boujouは価格が高く200万円もするのでおいそれと買える代物ではありません。またMayaのMacthMoverもMaya2010以降を持っていなければ付属しないので、CGをやらないところでは入手できません。The FoundryのCameraTrackerはAfter Effectsのプラグインで、AfterEffectsの中でのみ完結する仕様になっています。また、CGへのエクスポートはCinema4Dしか対応していないようです。Mayaや3DStudioMaxに対応していないのは少々致命的ではありますが、とても安価であることを考えたら仕方ないでしょう。
でも、After Effects CS6が3D camera trackerを搭載したことで、The Foundry社には明らかに焦りがあるようでCamareTrackerのサイトには、自社製品が優秀であるとコメントしています。実際にトラッキングを行う場合、デフォルトで上手くいくことはほとんどありません。細かな微調整ができることや、合成に不可欠なレンズディストーションの補正ができる等、優位点を記述しています。

マッチムーブのBefore After

では、私の愛車をLumixの動画撮影機能で撮った映像でマッチムーブをしてみました。所要時間はおよそ1時間。 Boujouで作業した時より楽だったというのが感想です。

マッチムーブ処理前

素材は、三脚やドリーを使わず完全な手持ち撮影のカットです。収録したロードスターのカットは、上下左右そして回転の入り混じった最低のカットです。
普通ならNGカットですが、この素材を元にマッチムーブを実行してみます。
車両ロゴは、cartypeというサイトからダウンロードしました。

ナンバープレート差し替え

mocha Proを使ってナンバープレートをトラッキングします。そのデータをAfter Effectsにエクスポートし、差し替えます。このトラッキング作業が一番手間がかかりますが、mocha Proでは非常に少ない工程で作業が完了しました。

背景消しこみ

ナンバープレートの差し替えが完了したら、背景のブルーシートと門扉の表札を消します。