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Boujou側の作業
フレームレートの確認
まず最初に、AfterEffectに書き出すことが前提であれば、Input SequenceダイアログボックスでFrame Rateが30に変更します。
この設定は720p素材の場合、デフォルトで24になっています。よくある失敗で、24のまま作業をして、後になって気がつくという場合も多々あります。後で気づいたときにはもう遅くCamera Solveを再度実行するはめに。結構な時間が掛かるので気が滅入ります。
また、NTSC圏の地域では29.97のフレームレートが使用されるので、ここに29.97と入力して作業するとAEでは時間がズレて合成に問題が生じます。MayaやLightWave3Dの場合は、29.97で問題ありませんが、MayaやLW3で作ったものをAfter Effectsで合成するワークフローならば
フレームレートは30にしておくほうがいいでしょう。
ここで注意するのは、Number from欄に0を設定することです。 ここを0にしておかないとAfter Effectsにエクスポートしたときにスタートフレームがズレて大変な目に合います。何故開始フレームを0にするかというと、動画素材をAEで連番ファイルを作成する場合、デフォルトの状態では、出力された連番ファイルの開始番号は0になっています。しかしBoujouの場合デフォルトが1ですので、ここは明示的に0と入力してやらないと、AEで作業するときに1フレーム映像が足りないことになってしまいます。
座標軸の決定
次にBoujouのPreference>Preferred Camere Orientationで、Y-up,Z-backになっていることを確認します。
これは、原点に対する上方向の軸を何にするのかを意味します。一般的にX軸は横方向を示し、Y軸は縦方向、Z軸は奥行きを示します。ほとんどのエクスポート先である3Dアプリケーションは、Y-upになっているので問題ないかと思いますが、MaxのデフォルトはZ-upらしいので気をつけてください。(Maxは使っていないのでよく分かりません。間違っていたらごめんなさい。AEやMaya、LightWave3DはY-upです)
このカメラの軸位置設定はCamera Solveした後でも変更できますが、フレームレートは変更できません。よってAfterEffectsだけで合成作業をする場合は、必ずフレームレートの確認をしてください。私もこれで何度も失敗しているので皆さんも気をつけるようにしてください。
どうしても面倒だという人は、前のページで配布している修正版Boujouカメラ設定ファイルでフレームレートの数値を29.97から30.00に変更してください。(右コラム参照)
トラッキング作業
基本設定が済んだら、2DTrackからLocatorsやTarget Tracksを使って目標点を決め、Feature Track、Camera Solveをしましょう。これは、Boujouにトラッキングする目標はここだよと教えてあげることによって3次元空間上での位置関係を明確にする効果があるためです。(そもそもLocatorの単語の意味自体が「位置を示すもの」といった内容があるため、先に打ち込んだほうが確実です)
そこで便利なのはInitialize Key Scheduleです。これはBoujouがLocatorを打つポイントを自動的に推測してくれる機能です。闇雲にLocatorを打つのは時間の無駄です。タイムライン上に黄色で表示されたところにLocatorを打てば任意の等間隔にLocatorを打つ必要はありません。
Camera Solveの前にLocatorを打つ理由
Boujouを使っている人しか分からないことですが、Camera Solveの後にLocatorを打つとLocatorとPredictionの位置が合致しないということがあります。最初のころは、なぜそうなるのか分かりませんでした。が、Locatorはあくまでも道しるべという機能だけであり、Predictionのように厳密に三次元空間をプロットするものではないということに気づけばなんてことはありません。
あくまでも大事なのは三次元空間にPredictionが正確な位置に配意されていることで、Locatorは二次元空間に便宜上つけられた点でしかないということが結論のようです。
例えばサイコロを真正面からサイコロと同じアイポイントで撮影すると、カメラからは一枚の面しか見えません。その段階では視差はありませんが、カメラをドリーすると隣の面が見えてきて視差も発生します。ここで、サイコロの頂点に5フレームごとにLocatorを打ち込むことで区間ごとの目標点が明確になり、FeatureTrackが2次元空間上の基準点を作成しやすくなります。その後、連続してCamera Solveを実行するとそれぞれの基準点の動きの速度の違いから3次元上の位置関係を明確に計算し、サイコロの頂点を示すPredictionを生成します。このため、CameraSolveをする前にLocatorを打ったほうが良いのです。
こうして出来上がったプロジェクトにLocatorを再度打ち込むと、自分が打ち込みたいところと異なる場所に黄色のPredictionが発生することがあります。
これは、画面上に三次元空間の座標が生成されていることを示します。分かりにくいかもしれませんが、Prediction自体はひとつの点として存在しますが、Predictionの集合体は既に目標物に張り付いて三次元空間を生成しています。
各Predictionとの相対位置関係を保っているため、特定のPredictionを選択して動かそうとしても大きくは動かないのです。
トラッキングの確認
うまくトラッキングできているか確かめるのにテストオブジェクトを使います。
CGにエクスポートする予定のPrediction、もしくはLoacatorを選択して、3D Track > Test Objectsから、オブジェクトを貼り付けます。ここでは、TypeでPlane(平面)を選び、AlignmentからOrient and Moveを選択します。Align toボックスから<Plane through selected prediction>を選ぶと画面上のPredictionのところにオブジェクトが張り付きます。
オブジェクトに滑りがなくキレイに貼りついていればトラッキングが上手くいった証拠です。しかし、オブジェクトにズレがあれば、どこかでジッターが発生しています。小さなジッターだけならSolve Adjustのsmoothingで完璧になります。
ここで注意するのは、Solveのドロップダウンリストが常にUser solveになっていることです。このままSmoothingをしても何も変わりませんので必ずCamera Solveを選んでください。
しかし、これでもまだ、メッシュの動きがイマイチ自然ではない場合は、根本的にトラッキングの精度が低いことが考えられます。 再度、Locatorを打ち直してCamera Solveしてください。ちなみにLocatorは最低でも7ヶ所のポイントが必要です。最初からFeature Tracks、Camera Sloveだけでも問題なくトラッキングできることもありますが、そんなことはほとんどありません。確実なトラッキングを目指すのであれば、feature TrackをしたあとLocatorを打ち込んだほうがよいでしょう。
ジオメトリの設定
次に、3次元空間上で原点(Origin)とX軸(X-Axis)、Y軸(Y-Axis)、Z軸(Z-Axis)を決めましょう(これをジオメトリといいます)。これはCGアプリケーションにBoujouのデータをインポートしたときに、どこを基準にするのか簡単に分かるようにするものです。別にこれをしなくても合成作業は出来ますが、天地がハッキリしないと作業がやりにくいのと、CGの担当者に失礼なので出来るだけジオメトリを定義するようにしましょう。
この図は、ジオメトリを決める前の状態です。最初にCamera Solveをした段階では、Boujouはどこが地面なのか理解していません。
左図では地面に対して、Predictionが地中に埋まっている様子がわかります。
2D Viewに戻り、Boujouに地面が分かるよう、原点、X軸、Z軸を決めてやります。
このカットでは、アスファルトの石を原点に、X軸、Z軸を設定しています。ジオメトリが決定するとクルマの形をしたPredictionの集合体が、地面の上にきれいに並びます。
レンズディストーションを加える
どんなクリップにもレンズディストーションが発生しています。CGと合成するときは、常に歪みに気をつけないと全く合致せず作業が進まないことがあります。(すぐに気がつきますが・・・)
3D TaskメニューからAssess Lens Distortion (automatic)でレンズディストーションを補正します。
元素材が樽型歪みの場合は、画面の各コーナーが外側に広がります。糸巻き型歪みなら画面の中ほどが膨らみます。
右隣の画像はロールオーバーになっているのでマウスをのせてみてください。
この画像の場合、樽型歪みを持っているので、補正をかけると画面の四隅が広がり、画面の左右上下の辺がへこんでいる様子が分かります。糸巻き型歪みの場合は、左右上下の辺がふくらみます。
なお、後半で説明しますが、補正を施した画像の解像度は元の解像度より増えています。
boujouの画面右にあるOverlaysパネルのRadialチェックボックスをON-OFFすると元素材との歪みの違いが良く分かります。
エクスポートする
ここまで出来れば、後はトラッキングデータをエクスポートするだけです。Export Cameraを開き、Export Typeでboujou Animation(*.ban)を選びます。(写真14)
ここで注意するのは、Export flagged tracks onlyで、エクスポートすることです。これはフラグの付いたPredictionのみをエクスポートするということです。これはBoujouが検出したPredictionをすべて書き出し、AEに読み込ませると動作がかなり重くなるからです。
それだけ無駄なメモリを消費することになるので、ここのチェックだけは忘れないようにしてください。(写真15)
また、Scale Scene byに100と入力してください。これは、現在のスケールを100で割るという意味です。この数値をデフォルトの1のまま書き出すと、AEに読み込んだときに赤い線の正方形がたくさん出現して何が出てきたのかびっくりします。
これはAEが解釈するPredictionの大きさが、Boujouのデフォルトの大きさと異なっており、これを補正するのに100で割て縮小するということらしいです。
このあたりはPDFマニュアルにも記載がなく、クレッセントのサイトか、ViconのサイトからAE用のプラグインと設定情報を入手する必要があります。
ちょっと休憩
余談ですがScale Scene byは、正確にはScale Scene divided by(数値)となると思っています。割り算をするのだからdividedを省略しないほうが意味が通じると私は思うのですがいかがでしょう。本当のところはメーカーに聞かないと分かりませんね。
更に余談で、
2+1=3は、2 plus 1 is 3。
2-1=2は、2 minus 1 is 2。
2×1=2は、2 multiplied by 1 is 2。
2÷1=2は、2 divided by 1 is 2となります。BoujouやAfterEffectsとは、全く関係ありませんが参考までに。